30年物のVHF TVアンテナをリサイクルしてFMワイド用にしてみた

この記事を書いた人(きのぴぃ)
部品メーカー広告宣伝記事・電気系の雑誌や無線雑誌の元ライターをやってました。
以前よりガジェット集めをやっており、本業(電子機器メーカー勤務)の知見を活かしたレビューが得意です。
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何十年も住んでいると家にある物と言えば、VHFアンテナだったりするのだけれど、今となっては無用の長物と化しているお宅も結構あると思う。
地上デジタル用アンテナを設置した際に、下さなければ、未だに存在しているはず。
そんな不要な物ではあるけれど、今だからこその使い道があるのだ。その使い道を紹介しよう。

目次

情弱者狩りにあったうちの親

埼玉の実家に越してきて真っ先に問題になったのが、VHFのTVがノイズ交じりでまともに見られなかったことだ。その時は、施工業者がブースターを調整したとのことで、周波数が低いNHK以外(民法TV)は見られるようになったので、まぁいいかと不問としていた。

地上デジタル放送が始まったので、もしかして、VHFアンテナでも見られるのではと思ったが、電波が弱いらしくまともに見られない。そこで、ブースターを付けたものの、あまり感度が上がらなかった。ここで、あることに気づきべきだった…。

結婚してしばらく実家を離れていた所、電気屋に言われて古いUHFアンテナを下してもらい、新たにUHFアンテナを建てたそうな。そういえば、その時期、単にUHFアンテナの方向をスカイツリーの方向に変えればいいのに、TVが見られなくなるからと無知な年寄りを煽って、無理矢理新しいアンテナを買わせている電気屋が多かったな。
ネットで繰り広げられている情弱者狩りのようなものだ。うちの親もそれにまんまと引っ掛かってしまったようで。

粗悪のケーブルで10年以上経ちボロボロ…

アンテナ工事した悪徳業者がどうも安い同軸ケーブルを使ったようで、ケーブルの被服が所々ボロボロと剥けていることに気づいた。これは宜しくないので、同軸ケーブルの交換をしようかと思い立つ。屋根には何度も上っているので、業者に頼むまでもあるまい。

ちなみに、30年以上前に付けられたケーブルもあるけれど、こちらの方は色は若干くすんでいたものの、中身は至って新鮮。悪徳業者が粗悪なケーブルを使って、大儲けしたに違いない(キー!!)。

屋根を見ると、まだ屋根にVHF TVのアンテナがまだあったことに気づく。アンテナの中身がさび付いていなければ、ワイドFMのアンテナ替わりになりそうだ。
折角同軸ケーブルを交換するので、ダメ元でついでにやってみようと思い立つ。

それに、地上デジタルアンテナを設置した悪徳業者はケーブルの引き込みもやっつけでやった感満載で非常に美しくない。
部屋で全部にアンテナのコネクターが付いていが、地上デジタルのアンテナは全部の部屋に繋がっていないのだ。
ケーブルの引き込みだけでなく、全部の部屋でTVを見られるようにしたいと考える。

埼玉県南部地方は超強電界

交換されたUHFアンテナの接続を見てみる。すると、単に分配器が付いているだけで、それでも、TVで電波レベルを見てみると、超強力であることが分かった。

そこで、VHFアンテナに繋ぎ変えると、電波レベルを見ると、明らかに悪化している。電波が弱いのか?
更にブースターを繋いでみると、更に電波レベルが悪化するではないか。そこで、TV側に強力な電波が入ってしまい、AGCなどの回路で受信レベルを落としているのではないかということに気づく。

30年以上前に施工業者がVHFのブースターのゲインを絞っていたようだけれど、それでも、何10dBものゲインがあったに違いない。地上デジタルは634mもあるスカイツリーからなので、東京タワーの時よりも更に電波が強く飛んできている。

だから余計に電波が超強力になり過ぎて、TVがまともに見られない位になってしまったのだろう。それなら、屋根にあるブースターを取ってしまい、単純な分配器だけでもいけるのではないか。

ベストな方法はこれだ!

後から建てたUHFアンテナは、適当にケーブルを家に入れてあり、できればもう少し配線をスマートにして、各部屋でTVが見られるようにしたい。そんなこんなで、下の図のようにケーブルの配線を変更してみた。

各部屋にTVアンテナ用のコンセントがあるので、そこからTVやラジオに繋ぐことにした。どの部屋に行っても、TVやワイドFMが使える自分好みの家が30年の時を経てようやっと完成する。

交換工事の様子

屋根に上り、アンテナの様子を見る。長らくアンテナを支えているポールは錆びているものの、しっかりしているので、まだ使えそうだ。ステー線も交換しなくてよさそうだ。30年も前に設置された物だけれど、まだ使えるなんて凄い!

悪の根源であるブースター(写真左・中央)は使わないので取り外し、ブースターなしの分配器に交換する(写真右)。

おいらは大分歳を取ったので、屋根に上る際、少々ビビリが入ったものの、怪我もせず無事工事完了。

今回掛かった費用

  • 混合器:日本アンテナ M-UUF 4,480円(税抜き。某ホームセンターにて購入)
  • 燃やせないゴミ用袋代 数十円

アンテナの方向を調整

一旦、屋根から降りてみて、TVとミニコンポであるマランツM-CR612に接続してみる。M-CR612に関しては、こちらでレビューしているので、参考にしてもらいたい。

地上デジタル放送は、全く問題ない。次に、ワイドFMの方を聞いてみる。東京方面を向いているので、東京のTBSと文化放送、ニッポン放送は電波が強力。でも、聞けて当然の局にアンテナを向けるのは実にもったいない。
どの方向にアンテナを向けたらいいか…。

丁度、栃木放送と茨城放送もワイドFMを行っているので、栃木と茨城の真ん中位を狙って、VHFアンテナを向けてみた。

下にどんなFM局が受信できたか表にまとめたのだけれど、狙い通り、栃木・茨城のワイドFMを受信することができた。

周波数(MHz)放送局名送信所の場所電波状況
76.4FM栃木栃木県(宇都宮)電波が弱く、離調ノイズがあるものの、話の内容が分かる。 ※参考情報。元々昔のVHFアンテナでは、FMラジオの周波数をカバーしていないのと指向性が鋭い9エレメントということもあり、受信自体キツイか。
88.1茨城放送茨城県(つくば)離調ノイズがあるものの、話の内容は分かる。
90.5TBSラジオ東京都(墨田)アンテナアイコンが表示(電波が強力であることを示す)。
90.9山梨放送山梨県(甲府)離調ノイズがあるものの、話の内容は分かる。
91.4栃木放送栃木県(宇都宮)アンテナアイコンが表示されないが、ノイズがなく電波が強力。
91.6文化放送東京都(墨田)アンテナアイコンが表示(電波が強力であることを示す)。
92.4RFラジオ日本神奈川県(横浜)離調ノイズがあるものの、話の内容は分かる。
93.0ニッポン放送東京都(墨田)アンテナアイコンが表示(電波が強力であることを示す)。
93.4栃木放送栃木県(塩原)離調ノイズがあるものの、話の内容は分かる。
94.6茨城放送茨城県(加波山)アンテナアイコンが表示されないが、ノイズがなく電波が強力。

アンテナの向きが違うけれど、RFラジオ日本や山梨放送、在京の3局も聞けるというおまけ付。在京の局は流石にスカイツリーだけあって、電波が超強力なのだ。

お試しで北方向のFM局を狙ってみたけれど、群馬方向にアンテナが向いていないので、FM群馬はかすりもしなかったが、FM栃木はかろうじて聞くことができた。電波の波長が合わず、電波が弱くなってしまうので、専用アンテナが欲しい所ではあるけれど、埼玉にはFM795なるFM局があり、丁度栃木・茨城方向なので、混信が心配(FM栃木の電波が弱いのは、もしや混信のせい?)。

使わなくなってしまったVHF TVアンテナもこうやってリサイクルできるので、みなさんもお試しあれ。

FMワイド電波をうまく受けるコツ

以上、遠くのFMワイド電波を受けるための奮闘記をお届けしたのだけれど、ゴミとなってしまいがちなVHF TVアンテナもちょっと工夫すれば今回のように生き返るのだ。

自分の自宅を含め、何軒かTVの配線を見ていて、電波に詳しい電気工事屋は皆無なのだなというのが改めて分かった次第。強電界地域なのに、平気でブースター付き分配器を使用している。
うまく感度調整できる分配器ならよいのだが、ブースター付きのものは感度を上げるために使われるので、逆にTVやFMの電波が強すぎて、映りが悪くなるということが起こってしまう。
それは、TVやFMラジオに電波が強すぎると感度を落とす機能が付いているからだ。

強電界地域で屋外アンテナを付けているのにも関わらず、TVやFMラジオの受信状態が悪い場合は、ブースターが使われていると考えていい。特に、地上デジタルで受信レベル40台となっている場合、屋外の混合器を下記のようなブースターなしの物(今回使用)に変更すれば、大幅に改善できるだろう(防水のものなので、屋内使用もOK)。

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